'12 オンＤ－対戦ＢＢＳ－Ａ [One Tree All Message]

'12 オンＤ－対戦ＢＢＳ－Ａ

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１、証拠資料の引用について /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:21) [#17]
`├` 肯定側立論　①現状分析１　深刻度：C /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:23) [#18]
`├` 肯定側立論　②現状分析２　深刻度：D /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:24) [#19]
`├` 肯定側立論　③現状分析３（１）　深刻度：D /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:25) [#20]
`├` 肯定側立論　④現状分析３（２）　深刻度：B /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:26) [#21]
`├` 肯定側立論　⑤発生過程１　深刻度：A /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:28) [#22]
`├` 否定側立論①　現状分析１（１）　深刻度：A /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:29) [#23]
`├` 否定側立論　②現状分析１（２）　深刻度：D /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:30) [#24]
`├` 否定側立論　③現状分析１（３）　深刻度：A /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:31) [#25]
`├` 否定側立論　④深刻性１　深刻度：B /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:33) [#26]
`├` 否定側第一反駁　①現状分析１への反駁　深刻度：D /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:34) [#27]
`├` 否定側第一反駁　②発生過程２への反駁　深刻度：D /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:35) [#28]
`└` 否定側第一反駁　③重要性への反駁　深刻度：D /岩永哲享 (12/06/30(Sat) 02:36) [#29]

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　１、証拠資料の引用について

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:21:15)

この試合で両チームから出された証拠資料について、インターネット上で確認できるものについては確認をとりました。書籍や雑誌記事の原典までは当たれていません。

その中で、証拠資料の引用や出典の示し方について、指摘したいポイント、ルール違反と考えられるものが多数出てきましたので、以下で順番に示していきます。なお、それぞれにつけてある「深刻度」は以下のことを表します。
深刻度A…ディベート甲子園でなされた場合、敗戦処分（反則負け）の可能性が高い
深刻度B…ディベート甲子園でなされた場合、その引用がなかったものとみなされる可能性が高い
深刻度C…ディベート甲子園でなされた場合、その資料の信ぴょう性が特に低いものとみなされる可能性が高い
深刻度D…ディベート甲子園でなされた場合、反則ではないものの、選手が想定しているほど評価されない可能性が高い、もしくは反則とまでは言わないけれども改善してほしい。

これを読んでいただければおわかりかと思いますが、深刻度Dというのは「どうでもいい」ということではなく、「他に比べればましだが、試合中には不本意な評価をされかねない」という点ですので、Dだからといって甘く見ないようにしてください。

必要に応じてルール（主に細則B）を参照してください。
http://nade.jp/koshien/rule.html
また、以前〔2009年〕に試合運営委員会から出された証拠資料についての解説についても、読んでいただければと思います。
http://nade.jp/koshien/evidence.pdf

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　肯定側立論　①現状分析１　深刻度：C

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:23:12)

まず、現状分析１では次のようなデータの用い方がなされています。

救急車の不要な出動は増加しています。資料です。消防庁『平成22年救急・救助の概要』のグラフの数値を引用します。
搬送人員全体は、平成10年度は約354万人、平成22年度は約498万人。そのうち、軽傷者の割合はどちらの年も約50%なので、平成10年は約177万人で、平成22年は約249万人です。この12年の間に、本来は救急車で搬送する必要のない、軽症者の搬送人員が約72万人も増加しました。また、国や県の広報活動で、適正利用の呼びかけをしているにもかかわらず、搬送する必要のない軽傷者は減っていません。

原典を見ると、搬送人員については
H10　3545975人
H22　4978701人　であることがp.1から、
また、軽傷者の割合については
H10　50.4%
H22　50.4%　であることがp.4から読み取れます。
そのあとに出てくる軽傷者の搬送人員などについては、資料にもともと書いてあるわけではなく、自分たちで計算したのだと思います。

その場合、どの部分が資料で書かれている内容で、どの部分がそれを元に自分たちで計算した結果なのか、区別できるようにスピーチしてほしいと考えています。それは、資料の文面を引用するときに、引用している文章と、それを元にどのような議論ができるかを説明する部分を分けてほしいのと同じです。

また、資料中には「軽傷者」について、「入院加療を必要としない」とは書かれていても、「救急車で搬送する必要がない」かどうかについては述べられていません。また、国や県の広報活動で適正利用の呼びかけがなされているかどうかについても、この資料で述べられているわけではありませんので、この資料の内容とは区別する必要があります。

したがって、この場合には、例えば

救急車の不要な出動は増加しています。資料です。消防庁『平成22年救急・救助の概要』のグラフの数値を引用します。
搬送人員全体は、平成10年度は約354万人、平成22年度は約498万人。また、軽傷者の割合はどちらの年も約50%です。ここから計算すると、軽傷者の搬送数は平成10年は約177万人で、平成22年は約249万人です。この12年の間に、軽症者の搬送人員が約72万人も増えたことがわかります。

という言い方をしてほしいと思います。

今回のような使い方をされた場合、ディベート甲子園ルールでは、細則B-3項にある「証拠資料が引用されている部分を明示すること」が満たされていないと判断されるため、ジャッジはB-4項に従って資料の信ぴょう性が低いものと考えることになります。また、オンラインディベートのルールには「引用箇所不明」という場合については特別の規定が置かれていないので、ディベート甲子園ルールと同様に扱うものと考えられます。

また、出典を提示する際には、pdfファイルについてもページ数を示していただけると、どこにその記述があるのかすぐにわかります。そうでないと、探すのが大変だったり、本当はあるのに見つけられなくてねつ造を疑われたりする可能性がありますので、ぜひ出してください。
これについては、オンラインディベートのルール上「URLさえ正確ならなくてもほかの情報はなくてもよい」ということになっているので、書かれていないからと言って今回は罰則の適用はありませんが、ほんの数文字書いていただくだけで確認の手間が省け、あらぬ誤解を招く心配がなくなりますので。

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　肯定側立論　②現状分析２　深刻度：D

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:24:26)

現状分析２では、次のような引用がなされています。

ノンフィクション作家矢貫隆氏がホームページに掲載した「クルマは今日も走っている」より引用開始。　
消防庁によると、07年6月の制度開始から半年で、救急出動は約34万回あった。うち搬送不要と判断されたのは、軽微な交通事故など162件。そのうち38％の64件で、患者の同意が得られずに救急搬送したという(中略)現場での判断の難しさが、わずか162件の理由らしいのだ。　引用終了。

これについて、原典を当たると次のような文章があります。

トリアージ制度のスタートにあたり、東京消防庁は、現場でのトリアージによって搬送が不要と判断される、この手の“救急患者”は年間に5,000件と予測していたというが、実際は、その数をはるかに下回るものだった。それを報じたのが1月26日付の毎日新聞である。
「消防庁によると、07年6月の制度開始から半年で、救急出動は約34万回あった。うち搬送不要と判断されたのは、軽微な交通事故など162件。そのうち38％の62件で、患者の同意が得られずに救急搬送したという」
　162件とは、またずいぶん少ないが、その理由について、消防庁救急管理課は毎日新聞に対しこう答えている。
「実際にけが人と向き合うと救急隊員もより慎重に判断してしまうようだ」
　現場での判断の難しさが、わずか162件の理由らしいのだ。

「不正な引用」として反則をとるほど内容を捻じ曲げているわけではありませんが、中略以前の部分については矢貫氏が自分で言っているのではなく、毎日新聞にはこう書かれていた、という形で引用している文であることがわかります。このように、引用している文章をさらに引用する場合は、次の二つのことを念頭に置いてほしいと思います。
まず、可能であれば元の文章を引用することです。この場合であれば、毎日新聞の記事を直接引用してほしいと思います。
もう一つは、仮に直接引用ではなくこの記事を引用する場合には、毎日新聞の記者が書いた文章についてはそうであるとわかるように引用することです。

なぜ、このようなことを要求するのか疑問に思われるかもしれません。
証拠資料を引用するのは、単にディベータ―が言っているというだけではなく、もっと社会的に立場のある人、より専門知識や情報を持っているであろう人が言っている、ということを示すためです。だとすると、単に「こういうことを言っている人がいる」というだけではなく、「こういう立場の人が」言っている、ということが重要になります。
ですから、その文章を書いたのは誰なのか、ということに非常に気を使うわけです。

なお、もう一点の毎日新聞の資料については、引用の仕方自体の問題はおそらくないと思います。ただ、これだけではPA連携ができていない「場合がある」とは言えても、どこの県でもできないとまでは言えていないことに注意が必要でしょう。

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　肯定側立論　③現状分析３（１）　深刻度：D

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:25:41)

前出の消防庁の資料にあるグラフによると、救急車の現場到着時間は、平成10年度が約6.0分に対し、平成22年度は約8.1分となっています。

まず、出典のページを示してほしいというのは現状分析１でも言った通りです。
その上で、「前出の消防庁の資料」と言われた時点で、ジャッジのフローにはすでに３枚の資料があります。このうちどれについて「前出の」と言っているのか、ジャッジは一つ一つチェックすることになります。今回は文字ですのでフローを読み返したうえで続きを見ることができましたが、実際の試合では、資料内容を書きとれなくなる可能性があります。

「平成22年、消防庁の資料にあるグラフによると～～」としていただくだけでも、探す手間が省けていいかと思います。
これでも、最低限の、発行年、肩書、著者名（この場合、肩書と著者名は団体名でよい）というルールは満たしています。

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　肯定側立論　④現状分析３（２）　深刻度：B

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:26:56)

現状分析３には、次のような議論があります。

8.1分という数字を、カーラーの救命曲線に当てはめると、心肺停止をしている人は、ほぼ100%の割合で、呼吸停止をした人は約25%の割合で命を落とすことになります。

「カーラーの救命曲線」というのが、どういうもので、なぜそれが信ぴょう性をもっているのかわからないため、それにあてはめた結論だけ言われても説得力を持ちません。ぜひ証拠資料を引用してほしい論点です。でないと、この議論は全くと言っていいほど評価できません。

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　肯定側立論　⑤発生過程１　深刻度：A

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:28:13)

この試合で最も深刻な証拠資料ルールの違反箇所がここです。

下開千春「救急外来・搬送の受益者負担」のグラフから引用すると、「救急車を利用した場合には、救急車の利用料として、一定の料金を負担してもよいと思うか」というアンケートで、「そう思わない」または「どちらかといえばそう思わない」と答えた人が約５割を占めました。

とあるのですが、僕が原典に当たった限りでは、ここで言われている内容に相当する情報を見つけることができませんでした（こういうことになりかねませんので、ページ数まで説明してください）。

具体的に、おそらくこことここを混同したんだろう、という僕の解釈に基づいて、詳しく説明します。
まず、p.22（pdfファイルのみでは7ページ目）のグラフでは、「休日・時間外の救急外来」について特別料金を払う場合には利用を控えるか、という質問について、全体では「そう思わない」25.3%「どちらかといえばそう思わない」22.5%で、計47.8%とされています。
これはあくまで救急外来に特別料金を払う場合の話ですから、救急車の利用料とは直接関係がありませんが、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」が約5割というのはここからきているのではないかと思われます。
というのは、次に「救急車を利用した場合には、救急車の利用料として、一定の料金を負担してもよいと思うか」という質問のグラフがp.24（pdfファイルでは9ページ目）にあるのですが、ここでは、全体で「そう思わない」12.8%「どちらかといえばそう思わない」17.6%となっていて、合計30.4%で、「約5割」という表現には全く結び付かないからです。また、この質問について世代別・性別などのデータがあり、唯一「20歳代・女性」のデータだけが「そう思わない」22.2%「どちらかといえばそう思わない」31.5%となっていて合計53.7%と、「約5割」といえそうです。しかし、そうであれば20歳代女性についてのデータだといわなければならないでしょう。

本来3割であるものを5割と言っているか、もしくは本来20歳代女性にしか当てはまらない議論をあたかも世代・性別を限定しないものとして論じようとしているのか、いずれにせよ非常に悪質な証拠資料の改ざんがあったものと言えます。これだけで、反則負けとせざるを得ないでしょう。

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　否定側立論①　現状分析１（１）　深刻度：A

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:29:44)

引用している内容には問題ありません。
ただ、『日本の論点』という冊子と、「日本の論点Plus」というサイトは一応別物です。
もし、同じ文章が「日本の論点」にもあることを確認していて、文面を容易に確認できるようにURLを載せたというのなら、その場合は同時に本来の出典も書いておいてほしいところです。

今回は、『日本の論点』については「証拠資料一覧に記載がない」と判断し、したがって資料として引用されていない、「地の文」として扱います（参照：オンラインディベートルール５A　http://debate.on.coocan.jp/ond/）

なお、ディベート甲子園当日に同じことをやったことが発覚した場合、最悪のケースでは不正引用で敗戦となることが十分に想定されますので、出典にはくれぐれも注意してください。

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　否定側立論　②現状分析１（２）　深刻度：D

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:30:35)

また厚生労働省が平成20年に行った調査によると、生活が苦しい人が57.2％もいます。

とあります。
この部分は、引用のルールに違反しているわけではありません。ただ、後で言葉の使い方について述べるときに詳しく説明しますが、「生活が苦しい人」というのがどういう人を指すのか具体的にわからないため、この引用の効果はあまり大きくないでしょう。

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　否定側立論　③現状分析１（３）　深刻度：A

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:31:48)

資料です。「2002年　全保険医団体HP」より引用開始
「決議は「高額な薬剤を使用する場合や在宅医療では、月一万円を超す負担となっている。在宅酸素療法の中断の申し出などが相次ぎ、まさに命を削る事態」と告発。「医療費負担増の見直しと診療報酬の再改定を要求」しています。」引用終了

これも非常に悪質です。

まず、出典として提示されたリンク先は「全保険医団体HP」ではなく、日本共産党の「しんぶん赤旗」のサイトでした。また、僕が検索した限りでは「全保険医団体」という団体のサイトは見つかりませんでしたし、最も近い名称（おそらくこの団体の打ち間違いだろう）として「全国保険医団体連合会」のサイトは見つかりましたが、ここには該当する文面はありませんでした。

今回は、立論で述べられた出典については証拠資料一覧に掲載がない（ルール５Aに該当）もしくは第三者が確認できない（ルール５Cに該当）ものとして、証拠資料として引用されたのではなく、「地の文」とみなすにとどめます（参照：オンラインディベートルール５A及びC　http://debate.on.coocan.jp/ond/）。しかし、このオンラインディベートのルールではなく、ディベート甲子園ルールで同じことが行われた場合、敗戦処分の可能性がきわめて高いと言わざるをえません。

くれぐれも注意してください。

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　否定側立論　④深刻性１　深刻度：B

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:33:28)

１枚目の資料については、原典までは確認できていませんが、見てわかる範囲では問題ありません。

２枚目の、下開さんの資料については、問題があります。まず、立論では次のように述べられています。

また、治療の遅れによって病気が悪化するのはもちろん、経済的な負担も増えます。資料です。「2003年第一生命経済研究所研究員下開千春「増える救急搬送とその対応」」より引用開始
「さらに、このような有料化によって、貧困層の利用が制限される。また、症状が悪くなってから病院にかかるために、人体への負担だけでなく、医療費の負担も結果的に大きくなるという大きな欠点もあるといわれている。」引用終了

実際には、次のような文面です（pp.27-8、pdfファイルのみではpp.1-2）。

実際に、他国では、救急車の利用を有料化している国も少なくない（図表２）。人口約800万のニューヨークでは、救急車の利用は有料である。基本料金として約２万5,000円と、その他に走行距離に比例して料金が加えられる。救急搬送される距離が長くなるほど費用がかかるのは、サンフランシスコでも同様である。一方、フランクフルト（人口約70万人）では、救急車の料金は約２万円から約７万円と幅がある。
しかし、このような有料化は、果たして利用者の制限につながっているのだろうか。Richardson らの調べによれば、ニューヨークでは、救急車利用は有料でかなり高額であるにもかかわらず、代替する交通手段を持たない救急車利用者の86.5％が医学的にみて不要であっても救急車を利用していることも報告されている。さらに、このような有料化によって、貧困層の利用が制限される。また、症状が悪くなってから病院にかかるために、人体への負担だけでなく、医療費の負担も結果的に大きくなるという大きな欠点もあるといわれている。

このうち最後の2文を引用したわけですが、その結果として「このような有料化」が何を指しているのかわからなくなっています。原文を見る限りでは、諸外国で実際に行われている有料化の事例について、「このような有料化」によって問題があると指摘されている、という意味だと考えられます。ところが、この立論の引用の仕方では、「このような有料化」というのが、日本でこれからやろうとしている有料化であるかのように聞こえます。

これは、オンラインディベートルール５Bの「引用された内容が成立するための限定条件等が示された述部が、中略によって欠落しているもの」には厳密に言えば該当しません（「中略によって」欠落しているわけではないため）が、条件が抜け落ちていることは確かです。これによって、「諸外国の例であり、日本にはあてはまらない」という肯定側からのアタックの余地を消していることも考えられます。今回のオンラインディベートは、特別ルールに書かれていないことについてはディベート甲子園ルールに従うことになります。したがって、ディベート甲子園ルール細則B-6にある「元の文意を変えるような不適切な省略」（このルールは「中略」に限定していません）がなされたと考え、この資料を試合から除外することにします。

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■27 / 1階層)

　否定側第一反駁　①現状分析１への反駁　深刻度：D

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:34:45)

このスピーチでは、次のような議論がなされています。

不適切な利用はこれから減っていきます。なぜならその原因は若い人々であり、今後高齢化が進んでいくからです。資料です。
「2001年　横浜市立大学医学部公衆衛生学教室　大重賢治」の文章より引用開始。
「なぜなら、救急車の不適正な利用が多いと思われるのは15-29歳の若い年代であるが、この年代は人口の減少もあり、救急搬送患者数はほとんど増加しておらず、救急搬送患者数の増加の大きな原因となっている65歳以上の年代においては、比較的適正と思われる救急車利用が行われているからである。基本的には高齢化の進展が、救急搬送患者数の増加をもたらしたと捉えるべきであろう。」引用終了。
このように不適切な利用は高齢化によって減っていくのでPを導入する必要はありません。

ルール上は問題ありませんが、資料中では若い世代の人口の減少により、この世代の救急搬送患者数は「増えていない」というだけで、「減っていく」ということまで言われていません。
したがって、「高齢化によって不適切な利用が減っていく」ということまでこの情報で根拠づけることはできないでしょう。

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■28 / 1階層)

　否定側第一反駁　②発生過程２への反駁　深刻度：D

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:35:47)

引用の際、著者名を「川上ちひろ」さんしか挙げていませんが、この論文は複数の人の共著になっています。座談会形式などで、この部分の発言者が川上さんであることが確認できているのであれば構いませんが、そうでなければ証拠資料一覧と同様、「他」という一言を付け加えて、共著者がいることを示してほしいと思います。

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　否定側第一反駁　③重要性への反駁　深刻度：D

□投稿者/ 岩永哲享 -(2012/06/30(Sat) 02:36:58)

「総務省消防庁のHP」によると、平成21年度と比較して平成22年度の救急出動件数が増加した消防本部が述べた要因のうち、最も多かったのが80.7%の「高齢の傷病者の増加」でした。P後も、高齢化に伴って増える高齢の傷病者によって出動件数は増える一方なので、現場到着時間も縮まらず、Mの効果は大変薄いと考えられます。　

図表のデータの紹介としてはほぼ間違いありませんが、直前に引用できる文面があるときは引用してほしいです。あくまで、原則として文面の引用というやり方があり、それがどうしてもできない資料について例外的に数値の紹介をデータとして用いることが慣行として認められている、とお考えください。

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