'11 オンＤ－対戦ＢＢＳ－高校３ [One Tree All Message]

'11 オンＤ－対戦ＢＢＳ－高校３

ツリー一括表示
１　自己紹介 /安藤温敏 (11/06/11(Sat) 05:56) [#17]
`├` ２　証拠資料の出典・引用について /安藤温敏 (11/06/11(Sat) 05:58) [#18]
`└` ３　判定 /安藤温敏 (11/06/11(Sat) 05:58) [#19]
`└` ４　メリットについて /安藤温敏 (11/06/11(Sat) 06:00) [#20]
`└` ５　デメリットについて /安藤温敏 (11/06/11(Sat) 06:02) [#21]
`└` ６　結論 /安藤温敏 (11/06/11(Sat) 06:03) [#22]

親記事　/ ▼[ 18 ] ▼[ 19 ]

■17 / 親階層)

　１　自己紹介

□投稿者/ 安藤温敏 -(2011/06/11(Sat) 05:56:51)

能代高校の皆さん、富山第一高校の皆さん、オンラインディベートお疲れさまでした。
ジャッジを務めさせていただく、安藤と申します。ディベート的な肩書きは、「日本ディベート協会」という、ディベート普及団体の理事をしています。また、関東地区の某高校のコーチもしています。
少々厳しい内容になってしまうかも知れませんが、皆さんのディベーターとしての成長を心から願っています。よろしくお願いします。

[ □ Tree ] 返信削除キー/

▲[ 17 ] / 返信無し

■18 / 1階層)

　２　証拠資料の出典・引用について

□投稿者/ 安藤温敏 -(2011/06/11(Sat) 05:58:13)

さて、いきなり厳しいコメントになってしまうのですが、この試合のジャッジをするにあたって、まずはこの話が避けられません。証拠資料の出典・引用についてです。

今回、皆さんの証拠資料の原典をあたろうと思い、少し調べさせていただいたのですが、残念ながら皆さんのすべての資料に、なんらかの問題がありました。

■肯定側立論の資料

１番目の神野の資料のページ数記載がありません。幸い、もとの雑誌コピーが私の手元にあったのですが、引用された文章を探しだすのにかなり時間がかかりました。
２番目の資料は、URLを記載してください。これだと、知らない人は後から探し出すことができません。
３番目の資料もURLが記載されていません。また、丸田氏がこの文章を書いたのは、1996年ではないですか（少なくとも私が探し当てたのは、UFJ Institute REPORTの96年4号でした）？
４番目の諸井氏の文章は、残念ながら私は見つけることができませんでした。本当に同じ文章がWeb上にあるのでしょうか？
５番目の資料もきちんとURLを入れておいてください。これも、最初書籍なのかと思ってしまい、実はPDFで配布されている資料だと気づくのにかなり時間がかかりました。

■否定側立論の資料

①～③の資料については、タイトル等は正確に書かれていて良いのですが、やっぱりURLを入れてもらわないと、探しだすのにかなりの手間がかかりました。
④の資料は、ページ数を入れるべきです。私はスクールヨミダスで調べましたが、新聞の縮刷版を当たる人は、これでは探すのに苦労するはずです。
⑤は報告書のタイトルとURLを入れてください。
⑥は、この文章を探すことができませんでした。そもそもこれはWeb上から取った資料ですか？それとも書籍や雑誌の資料でしょうか。書籍や雑誌資料なら、書籍・雑誌名、号数、ページまで入れてもらわないと存在が疑われます。
⑦については、私もこの書籍を所有しています。が、ページ数が書いてなかったために、該当する記述を探すことができませんでした（二回ほどざっと通して読みましたが、残念ながら正確に同じ文章を見つけることができませんでした）。
⑧もページ数を入れてください。④と同様です。

■否定側第一反駁の資料

資料としてだされているのは、５点目の議論の「地域主権戦略大綱」ですが、出典の記載が全くありません。
（ちょっとだけ調べてみましたが、今のところ、今後「関係法律の整備を行う」とされていて、法律の整備がきちんと行われているのかどうかは確認できませんでした。）

■肯定側第一反駁の資料

１点目の「レファレンス」の資料のURL記載がありません。
２点目の道州制推進連盟の資料もURL記載がありません。
３点目の「地域再生戦略と道州制」については、そもそもWeb資料なのか、書籍なのか、区別が不明で、普通の人には調査不能です（私は同書籍（林良嗣＋２１世紀政策研究所監修『地域再生戦略と道州制』日本評論社）を持っているので調べられましたが）。また、書籍なら、ページ数が必要です（私が調べた限りだと、21ページの記述だと思われます）。

■否定側第二反駁の資料

URL記載があるのは良いのですが、該当URLに飛ぶと、「地方交付税法等の一部を改正する法律案の概要」となっていて、タイトルが異なります。また、引用された文章が存在しませんでした（別途調査して、一応「地域雇用創出推進費」なるものの存在は確認できました）。

この他、いちいち指摘はしませんが、引用の内容についても、文意改変には至らないまでも、細かな語尾や表現が、原文と異なる箇所が幾つかありました。

今回のオンラインディベートにおいては、出典のきちんとした記載が義務付けられています。ルールを確認して下さい。もっとも、ルールに記載されていなかったとしても、この程度の出典記載と正確な引用は、最低限のマナーです。

資料の出典は、資料が本当に存在することを保証し、第三者が資料を検証するためにつけるものです。調査に時間がかかったり、そもそも調べられないような出典の記載は悪意のある隠蔽と取られても仕方ない、という事を理解してください。また、「文意が変わらないから」といった安易な気持ちで適当に文章を変えて打ち込んでしまうと、思わぬ誤解を招く可能性があります。絶対にやめてください（ただし、中略などは、きちんと明示してあれば、その中略が妥当かどうかについて、議論の対象になるので、「ルール」とはまたちょっと違うニュアンスになります）。

細かいことをくどくど書いて、嫌なジャッジだ、と思われるかも知れませんが、ディベートは、客観的な資料に基づいて議論を行うわけですし、せっかく一生懸命調査して探しだしたエビデンスに、このようなところでケチをつけられるのは、とても損だと思います。また、今回は致命的な引用ミスはありませんでしたが、あまりにもひどい資料の改変や出典の隠蔽が発覚すれば、実際の試合でも敗戦となる可能性だってあります。

実際の試合においても、もし相手の資料の不備を見つけたら、遠慮無く指摘すべきです。これは別に咎められるようなことではなく、ディベート甲子園ルールでも認められています（出典の不備については明記がありませんが、細則C-8の「著しくマナーに反する行為」に該当すると思います）。こんなことで勝ち負けが決まるのは不本意かも知れませんが、そもそも不備な資料を使った方が悪いのです。また、こうした指摘をされなければ、いつまでたっても、資料の引用に対する意識が向上しないでしょう。

資料に対する態度に関しては、ディベーターの皆さんだけでなく、顧問の先生（がもしいれば）にも責任があります。こうした問題を放置するのは、指導力以前の問題だと思います。この試合の関係者に限らず、もし指導者の方がこの文章を読んでいるのであれば、是非一度、選手のもっている資料をきちんと見直してあげてください。

次回から、実際の試合内容のコメントに移ります。

*(2011/06/11(Sat) 12:09:13 編集[投稿者])

[ 親 17 / □ Tree ] 返信削除キー/

▲[ 17 ] / ▼[ 20 ]

■19 / 1階層)

　３　判定

□投稿者/ 安藤温敏 -(2011/06/11(Sat) 05:58:54)

この試合、私はメリットよりデメリットの方が大きいと考え、否定側に投票します。

まず、資料については、ほぼすべての資料の出典記載が不備だったため、特に権威はなく、ディベーターの単なる意見として取りました。一応、新聞の資料は、オンラインディベートのルールには触れていないようなので、資料として取りましたが、正直勝敗に対する影響はほとんどありません。結局どっちもどっち、ということです。

次回以降のコメントで、メリット・デメリットそれぞれについての判断を書きます。

[ 親 17 / □ Tree ] 返信削除キー/

▲[ 19 ] / ▼[ 21 ]

■20 / 2階層)

　４　メリットについて

□投稿者/ 安藤温敏 -(2011/06/11(Sat) 06:00:25)

メリットは、形式的には一つですが、「地方が自由な行政をできるようになる」と「災害対応が迅速になる」の二つのメリットが合わさったものと理解しました。

一つ目の「自由な行政」については、「発生はするが、重要性が不明」と取りました。

確かに否定側の言うように、現状でも権限等が若干は移譲されつつあるのかもしれませんが、プランを取ることによって、より多くの権限がまとめて移譲されることは否定できないと思います。したがってメリットは発生する、と考えました。

しかしながら、その重要性については、よく分かりません。「地方が独自判断で投資できる」ことによって、どのような利益があるのか、イメージが湧かず、評価が難しいです。

二つ目の災害対応については、「ほとんど発生しない」と判断しました。

そもそも、試合中で引用された文章「だけ」を読む限りでは、現状分析と発生過程が合っていないように見えます。発生過程では、「他団体への応援要請や国・関係省庁との連絡調整」が行い易くなる、とありますが、現状分析の話は、そうした問題ではなく、そもそも「地方から連絡が来ても国が動けない」「原発対応を間違えた」ということで、この状況がプランを取ったから変わる、という確信は得られませんでした。というか、プラン後は道州が「海外対応」や「情報収集」や「原発対応」をすることになるのではないでしょうか？とすると、むしろ災害対応が遅延しませんか？国と道州に、これらを上手く分担させたいのであれば、プランにそのことを明記すべきです。「道州制」をとれば、勝手にやってくれる、と考えるのは無理があります。

もちろん、資料の前後を読むと、「県レベルでは、大震災のときは機能が麻痺してしまう」とか「より大きい地域の情報収集が必要」といったことも書いてあって、なるほど、と思える点もなくはないのですが、ディベートのジャッジとしては、こうした「余計な」情報を判断に加えるべきではないと考えました。

もう一つのリンク「東京が被災したときに、全国に影響が及ぶ」については、否定側が指摘したように、立論段階で発生過程がありません。その後肯定側もリカバリーを試みてはいますが、立論で出ていない議論を大きく取るべきではないだろうと考えました。

[ 親 17 / □ Tree ] 返信削除キー/

▲[ 20 ] / ▼[ 22 ]

■21 / 3階層)

　５　デメリットについて

□投稿者/ 安藤温敏 -(2011/06/11(Sat) 06:02:02)

デメリットは「基礎自治体の財政力が弱まる事による破綻」という内容と理解しました。

結論として、このデメリットは「ある程度は考慮すべき」と考えます。

現状分析では三つの議論が出されていますが、それぞれの役割や関連性が分かりづらいので、自分なりに解釈しなおしました。結果的に、真の意味での現状分析（つまり、いわゆる「固有性」）として考えられるのは、３番の議論のみと判断しました。

１番は、自治体が破綻したときに受けられなくなるサービスの説明（つまり、重要性の一部）と考えました。２番は、「周辺地域の人口減少→財政力は人口に依存→周辺地域の財政力低下」というリンク（発生過程）の一部と解釈しています。３番は「現状で市町村の財政は危ない」という議論として取りました。ラベルは「社会制度変更は基礎自治体を脅かす」となっていますが、ここでいう「変革」の内容が不明ですし、それがプランとどう関係付けられるかの説明も無いので、クレーム通りには理解不能です。それよりは、「ちょっと財政事情が悪くなっただけでも、町村の存立が困難になってしまう」という話と考え、固有性議論の一部として理解しています。

続く発生過程でも３つの議論が出されていますが、大きく分けて、１番の「税収減少」と２、３番の「州都一極集中→周辺部の衰退」の２つのリンクがある、と解釈しました。

１番目の議論については、まあ、そういう事もあるだろう、と思いました。２番目については「周辺部の人口減少→周辺地域の財政力低下」というリンクで、現状分析とつながっているようです。

重要性は、自治体の、財政難による破綻や社会サービスの低下、という話でした。一番目の話は、実は財政とそんなに関係なくて、独立して「道州制を取って、自治体が大規模化するとサービスが低下する」という話のようにも見えます（本来なら、そうした使い方をしたほうが生きる資料だと思います）が、特にそのような主張もなかったので、一緒くたに「破綻が問題」ということで扱うことにしました。

ここで、肯定側からの反論を考察すると、一番目の「補助金には持続性が無い」という議論については、確かにその通りなのだろうと思います。なので、プランをとらなくても、将来のある時点で、危険な自治体がある程度破綻するのは避けられないのだろう、と考えました。ただし、それはプランと現状がまったく一緒、ということではなく、少なくともプランはその破綻をより早める効果がある、と考えました。

二番目の「道州制が歳出削減になる」という話については、「５０兆円」という数字は、プランの道州制と本当に想定が同じなのか不明ですし、詳しい分析もないので、そのままは取っていません。否定側反論の「５０兆は既に市町村合併などで使われてしまった」という議論も、理由がよくわかりませんでした。どちらかと言えば、わずかに肯定側の議論の方が優れているのかな、と思いました。

ただし、この議論によってデメリットが消えるわけではありません。この議論は、デメリットが問題にしている「富の偏在」を解決する、とまでは言っていません。いくら歳入が増えたとしても、特定の地域に回されて、周辺地域にお金が回ってこないことが問題なので、これだけでデメリットを消すわけには行きません。

３番目の議論「州内での利益分配」については、確かにそうかもしれません。資料を読むと「再分配が『可能』」と言っているだけで、実際に再分配が行われるのかどうかは不明でしたが、再分配の試みはある程度あるのだろう、と考えました。ただし、プラン後は道州の税収そのものが減少する（発生過程の１番目）ことを考えると、再分配後の周辺地域財政といえども、現状より悪化することは避け難いように思われます（州都のある地域が、自分たちの身を現状以上に削ってまで、周辺地域を手厚く保護する、という話がしたいのであれば、それなりの証明や説明を追加する必要があります）。

ちなみに、試合中では議論されなかったので、判定には反映しませんが、再分配を行うにせよ、通常は人口比で再分配されると思われるので、周辺地域の人口減少が否定されていない以上、そうした地域への再分配機能も弱まる、と考えるべきではないかと思います。

結局、リンクはある程度成立すると考え、現状が危険な状態であること（現状分析３）、肯定側からの反論は絶対的ではないことから、デメリットはある程度成立すると考えました。

*(2011/06/12(Sun) 20:33:25 編集[投稿者])

[ 親 17 / □ Tree ] 返信削除キー/

▲[ 21 ] / 返信無し

■22 / 4階層)

　６　結論

□投稿者/ 安藤温敏 -(2011/06/11(Sat) 06:03:24)

これまでのコメントで述べたように、メリットについては、「発生はするが、重要性が不明」「ほとんど発生しない」のに対し、デメリットは、長期的には固有性がない（結局は破綻に至る）とはいえ、破綻に至るまでの時間を短縮し、住民サービス低下を強いられる期間に差が生じることから、メリットを上回ると判断しました。

私の判定・コメントは以上です。個々のスピーチに関するコメントは特に書きませんでしたが、判定内容の中に、今後の議論構成や展開のヒントになるような内容を盛り込んだつもりです。また、個人的に質問していただければ、できる限りお答えしたいと思います。この試合に関係ない内容の質問でも結構です。

このコメントが少しでも皆さんのお役にたてば嬉しいです。では、本番に向けて頑張ってください。

[ 親 17 / □ Tree ] 返信削除キー/

HOME HELP 新規作成新着記事ツリー表示検索

- Child Tree - (RSS/SPAM 対応版)