 | その２です。
否定側の立論を見ていきましょう。
否定側のデメリットは「売上の消失」です。２つのルートで説明しています。
１つは、現在のペット産業が１兆円規模であることから、プラン導入によって
１兆円の売上がなくなってしまう、ということです。
２つめは、現状でペット産業に従事している人は２７０００人程度いるが、
プランによってすべて失業してしまいます。
深刻性は自殺や犯罪の増加です。失業と自殺･犯罪は相関関係があり、失業者が
増えると自殺・犯罪が増えます。
そんな世の中はダメです、というものです。
【１】立論の評価
始めに立論の評価です。
aプランによって１兆円の売上が失われるか
否定側はペット産業の規模を説明する際、内訳も示してくれました。
それを読んでいてふと思ったのは「プランで禁止されるのはペットの売買だけ。
餌やペット用品、病院などは禁止されないよな？」ということです。
生体販売の１２００億円以外の売上についてはプラン後に大きく失われると
考えられる根拠が示されなかったため、あまり評価できませんでした。
ちなみに、肯定側も反駁でこの点を指摘しましたが第２反駁で行った指摘に
ついてはやや遅いと判断しました。
b３万人の失業は大きいか
これは実際には（a）の段階で１兆円まるまる取れないために３万人よりも減る
だろうと考えられますが、少しそれを除いて考えてみましょう。
「３万人」というととても多い人数に聞こえますが、日本で実際に働いている人が
何人くらいいて、プランに関係なく失業している人が何人くらいいるのか調べてみると良いかもしれません。
実は「大きさ」を感じる方法と視点はいくつもあって、それによって全く感じ方が違うことに気が付くと思います。
cプランだけでどのくらい自殺・犯罪が増えるか
デメリットはプランを導入しちゃったから起こる悪いことでなくてはなりません。
プランを導入してもしなくても起こる悪いことは勝敗に関係がないことなのです。
否定側は「失業が増えると自殺・犯罪が増える」ということは説明していますが、
プランによって失業した人が実際にどのくらい自殺したり犯罪を犯すのか、もう少し説明がほしいです。
続いてはデメリットの争点について。
【２】ペットショップは自然淘汰の時代に入ったか
肯定側は、ペットショップは競争と淘汰の時代に入ったので、プランを導入
しなくてもどんどんつぶれていくからデメリットは発生しない、と反論しました。
しかしこれは、肯定側の言うとおりだとしても、プランによって淘汰が加速され
たら、その差の分だけはデメリットですので必ずしも有効な反駁とは言えません。
【３】ペットは減っていくか
これは肯定側の議論でも触れました。
ただこれは両者とも、プランによって「飼われているペットが減る」ということに
ついてはきちんと立証してません。よってその分デメリットも薄くなりますが、
メリットも小さくなります。
【４】プランによってどのくらい自殺や犯罪が増えるか
これは立論評価のところでも述べていますが、結論として曖昧になっています。
ただし、曖昧になることは必ずしも肯定側に有利ではありません。
よく反駁で相手の主張に対して「根拠が不明です！」といって終わりにして
しまいますが、では「不明」の根拠はどうなるのかというと、ジャッジが常識に
照らし合わせて判断することになるのです。常識は、人によって微妙に違います
ので当然判断もまちまちになります。
そうならないためにも、きちんと反駁する際には相手の議論を否定して、根拠を
述べてください。
「・・・増えるといっていますが違います！・・・・の理由で減るんです！」など
それではまとめです。
メリットは、現状捨てられているペットは減少傾向にある種類（犬）はあるが、
全て自然に殺処分されなくなるところまではいかない。
プラン後、飼い主が本当に捨てなくなるかはかなり曖昧だが現状より入手なれば
ある程度は捨てなくなると考えられる。
ペットショップについては販売されないので捨てられるペットはほぼいなくなる。
デメリットはプランによって生体販売の１２００億円の売上は大きく失われるが、
他の役割（餌や用品）は残るため、否定側が想定しているより失業者はかなり
少ないと思われる。
そもそもプランによって何件くらいの自殺や犯罪が起こるのか明確でないことと
失業者はそれほど多くないのではないかと思われるので、メリット・デメリット
を比較してメリットのほうが大きく、プランを導入した方が良いと考えて肯定側に
投票します。
以上です。
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判定（その２）
/ 田村 晃 ＠ (10/05/20(Thu) 01:16) [#17] ←Now
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