 | ◆講評
両チームの皆さん、長期間にわたる試合、本当にお疲れ様でした！
私は、東京多摩地域で日本語ディベート普及活動を行っている、
ディベートクラブ「たま。」で主宰をしております、武田と申します。
実は、ディベートクラブ「たま。」でも、新しくディベートを
始めるメンバーには、今回の中学論題でディベートを教えているのですが、
今回の試合を通じて、両チームとも、よく準備をしているのが
伝わってきた試合でした。
その分、試合も拮抗した、非常にいい試合だったのではないかと思います。
判定の前に、両チームとも、試合中にそれぞれ良いところがあったので、お話させて
いただきたいと思います。
まずは、肯定側ですが、肯定側の第二反駁に良いところがありました。
どこかというと、スピーチの中で、もう一度自分たちの立論に戻って、
「悪質業者による分は少なくとも減る」と、自分たちの立論の理由を
もう一度説明してくれていたところです。
このように、最終スピーチで、立論のどこが残っていて、どこが争点になっているのか、
といったところをおさらいしてくれると、ジャッジとしては、非常に議論の
まとめがしやすくなりますので、ぜひとも、続けていって欲しいと思います。
また、否定側はその点、現状分析を3点に分けて緻密に説明していたのだから、
もう少し細かく触れてあげても良かったんじゃないかなぁと思いました。
さて、一方で、否定側で良かった点ですが、質疑の段階から、重要性に対し、
「人間にとってどんな利益があるのか」という視点を提示していた点がありました。
ディベートの試合では、ジャッジは最終的にどちらかに判定を下すわけですが、
そこでは、なぜ重要なのか、誰にとっての利益なのかという視点は、いつも
考える視点であります。なので、ディベーターの側から、積極的に、メリットや
デメリットは誰にとっての利益で、誰の利益を優先すべきかという議論が
展開されることは非常に好ましいですし、試合の勝敗を自分たちの側に
引き寄せるためにも、非常に重要な議論になると思います。
もっというなら、論題は「日本は」ということなので、日本という国は
どうあるべきか、誰の利益を優先すべきかという点はもっと深めて
いって欲しいなと思います。
◆判定
それでは、議論をどう評価したか述べていきます。
◇メリット
まず、メリットですが、現状で殺処分はゼロにならないと評価しました。
否定側から中日新聞の資料で反論がありましたが、肯定側が再反駁で資料を
引用したように、財政難の自治体があるので、現状のままで自治体の取り組み
だけでゼロにはできないのではないかと評価しました。ただ、否定側の主張するように
実際に減ってはいるので、その分、現状の問題は減じられたと評価しました。
その結果、悪質業者に起因するもの、衝動買いを誘う販売方法によるものは
確実に問題が解決するととりました。
重要性ですが、動物愛護の推進に関して、社会の一員としての動物を大事にする
環境ができるのはなんとなく大事だと思うのですが、否定側の指摘するように、
どのように人間にとって利益なのかという点が疑問に残るという評価をしています。
無駄な経費が浮くという点ですが、これは発生自体はするととりました。
それが有効活用されるかどうかという議論があり、そこは不明確でしたが、
少なくとも浮くこと自体にある程度の価値があると判断しました。
総じて、メリットは減じられたけれども、発生は確実にする、しかし、重要性が
ちょっと曖昧、といった評価です。
◇デメリット
現状のままいくとペット産業が発展するというのは合意がとれていると思います。
それが、プラン後どの程度衰退するのかという点に関しては、否定側の主張するよう、
確実に減少する方向には行くだろうと評価しました。ただし、肯定側の指摘するように
ペット自体は飼えるし、関連産業である程度カバーもできるだろうという話が
あるので、その度合いは大きいとはいえないと判断しました。
その結果、失業にまでつながる可能性はかなり減じられたのではないかと
評価しました。
ただ、失業が起きてしまうと、家族や社会に悪影響を及ぼしてしまうというのは
ほぼその通りだととっています。
総じて、デメリットは失業までのプロセスは若干曖昧なものの、今よりは産業は
衰退する方向に進み、いくらかの失業は出るだろうと評価しました。
◇結論
さて、メリット・デメリットの評価は上記の通りですが、判定としては、
今回は否定側に投票しました。
決め手は、発生する量を加味しても、問題の重要さにおいて、日本としては、
多少、発生が少なくとも、失業で苦しむ人々を優先するほうが重要だと判断したためです。
今回の試合はジャッジによっても判定の割れる、拮抗した試合だったと思います。
肯定側は重要性において、もう少し「日本として」どのような立場を取るべきかを
深めていければ勝ちやすくなるかと思います。
一方、否定側ですが、発生が若干曖昧なので、生態販売がなくなる影響の具体性を
もっと調べられるとデメリットをより発生させやすくなるのではないかと思います。
夏の大会も迫ってきましたが、悔いの無いよう準備して臨んで欲しいなと思います。
質問等がありましたら、お気軽にどうぞ！
それでは、両チーム共お疲れ様でした！！
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講評・判定
/武田 (10/05/22(Sat) 06:33) [#15]