□投稿者/ 名越＠オンＤ事務局 -(2010/05/24(Mon) 04:21:37)
 | 木曜日の夜中から作業を始めて、ようやく講評が終わったのですが、実は（当然？）判定は、その木曜日の前に決しております(^^;
多くの議論について、残念ながら「信憑性が高くは感じられなかった」というのが正直なところで、なぜ信憑性を高く感じられないのか、ということをできるだけ丁寧にお伝えしたつもりです。
ですが、双方にきちんと、一理あると思われた点があって、それを元に判定しております。
〔肯定側〕
現状には、ある病気の末期患者であれば、闘病生活が行き詰まるほどに苦しい、という人がゼロではないと判断します。ただ、今回の現状分析で挙げた程の数・割合であるとは受け止められなかった(No16)ので、次に試合をするまでに改善を試みて下さい。
そこで、ゼロではなく存在する苦しんでいる方の中で、プランにより安らぎが得られる、という事例も、またゼロではないと判断します。
解決性２で用いられた資料は1995年のもので、今から15年前のものではありますが、同様の理由で苦しみを乗り越える人はゼロではないだろう、という受け取りです（古くても普遍性があると判断。No16参照）
しかしながら、否定側第一反駁の「差分は不明」という反駁もその通り（No18参照）であり、また重要性の「自己決定権」を尊重すべき理由も、必要な説明がなされたとは思えませんでした（No25参照）。
加えて本来、「私の経験からもおよそ８０％の患者が、安楽死を約束すると自然に亡くなっていくのです。安楽死を約束することで「苦痛なく死を迎えられる」という安心感が生まれ、それから逆に患者の心に生きる意欲が生まれるからです。」という資料について、どのような闘病生活をしていた患者さんで、どのようなアプローチをすることで、患者に意欲がわき、その後どのような闘病生活を経て、自然な死に至ったのか、別なページに何か書いていないのか知りたいくらいに、【プロセス】が抜け落ちている感が否めません(No22参照）。
よって、メリットが生じる事例はゼロではないものの、重要性、及び議論の信憑性を低く見積もりました。
〔否定側〕
ある患者さん、特に闘病生活に負担が大きい患者さんの中に、プラン後の積極的安楽死が法的に認められた後の病院からの様々なアプローチを考えた結果、本意ではない形で積極的安楽死を選ぶ人がゼロではない、と判断しました(No23参照)。
ただ、それが国内で美徳となり、国内で積極的安楽死が続発したり、本人の意志を確認せず、みだりに積極的安楽死を適用するようになる、ということが、肯定側のプランから発生するのかどうか(No25参照)、発生過程の２に関連した議論の応酬とも絡めて【プロセス】を考慮するに(No23参照)、大きくは取れないと判断しています。
加えて深刻性の「患者の権利の侵害」を深刻に受け止めるべき理由も、必要な説明がなされたとは思えませんでした（No25参照）。
《議論の比較》
双方の議論の共通部分として
・闘病生活に負担の大きい方々がいらっしゃる
・プラン後に、積極的安楽死を選ぶ方々が実際にいらっしゃる
の２つがあることを踏まえます。
双方が一生懸命に提示してきた、数的にどちらが大きくなるか、という観点では判断する材料は残っていません。
＃個人的にこの論題は、発生する事例数が判断理由として決定的、とは思えないのです。
＃それを理由にしたい場合には、ディベートの中で提示して下さい。
そこで、残った事例が起こる確率（見込み；No18参照）と、議論の信憑性を見るに
・起こるだろうけど、そのプロセスの説明もが提示されていない肯定側
・プランによって新しい選択肢があることで、新しい事例が生じる可能性があり、その中には残念ながら「不幸だ」と評価されるべき事例もあるだろうと見込まれる否定側
で比べました。
【判定】
今回のディベートにおいては、否定側に票を投じさせて頂きます。
両校のディベーターの皆様、改めて、お疲れ様でしたm(__)m
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判定
/ 名越＠オンＤ事務局 (10/05/24(Mon) 04:21) [#29] ←Now
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