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DMは「政治の停滞」
現状分析
与党の代表が首相に選ばれているため内閣と議会は対立していません。
資料です。2007年 北海道大学法学部教授 山口二郎の文章より引用開始
「即ち、この制度においては議会の多数派が行政府の最高指導機関を形成し、通例、多数党の党首が首相となる。また、多数の与党議員が閣僚として行政府の最高指導的地位につき、それらの政治家が構成する内閣が行政府の意思決定機関となる。したがって、多数党は議会と同時に行政府をコントロールしている。いわば、政党与党が要となって、立法と行政の二つの権力が融合するのである。多数党の基盤が安定していれば、内閣は自らの意思を議会で法律・予算の形に実現し、それを実行する強い力を持つことになる。」引用終了。
発生過程
１． P導入で、首相が議会ではなく、国民に選ばれるようになります。
２． 首相を選ぶのと議員を選ぶのとでは、有権者の投票行動が変わります。
資料です。2001年 元経済企画庁長官 田中秀征の文章より引用開始
「人間はだれでも、ミクロの主張とマクロの主張の両方を持っている。しかもその両者は必ずしも整合しないばかりか、矛盾する場合も多い。国が危機的局面に置かれているときは別だが、議会選挙では有権者の大半がミクロ（自分の生活や地域、職域の利益）の主張を念頭にして投票行動を起こすものだ。一方で国、世界、時代の流れなどのマクロの方向については大統領選挙のようにマクロの代表を直接選ぶ選挙のときに真剣に考える。」引用終了。
３． その結果首相の支持基盤が議会に存在しないということが起こります。実際に首相公選制を導入したイスラエルでも同じ現象が起こりました。
資料です。2012年 日本の論点より引用開始
「実際に首相公選制を採用した国がある。92年のイスラエルである。（中略）首相選と議会選を同時に行うことによって、首相の与党が議会でも多数を占め、大統領と議会の対立というアメリカ型政治の弊害も避けられると期待された。ところが、有権者は首相選と議会選とで別々の党に投票する行動に出たのである。そのため小党乱立が加速化し、首相はほぼ完全に指導力を失った。」引用終了。
４． さらに日本で首相が公選された場合、議会に支持基盤のある議員が首相になる可能性は低いです。
資料です。2005年 千葉県柏市議会副議長 上橋泉の文章より引用開始
「そのとき同議連会長が述べた以下に示す言葉は、多くの地方議員が抱く主張像を示すものとして実に興味深かった。
「自分は議員出身者が首長になるのはふさわしくないと考えている。なぜなら、議員は社会を全体的にバランスよくフェアーに見る能力がない。一方、首長や官僚は平素からそのような習慣を身につけている。ゆえに県知事候補も市長経験者や官僚から出すのがよい」
日本人の統治観はこのようなものであるから、首相公選となれば国会の派閥の領袖よりも改革派知事のほうが首相の有力候補とされることは想像に難くない。」引用終了。
なので、日本ではなおさら首相の支持基盤が議会内に存在しないということが考えられます。
５．その場合、首相と議会は対立してしまいます。
資料です。「2013年 衆議院議員 石原ひろたかの文章」より引用開始
「ところが、首相公選制では、首相の選挙と国会議員選挙は別立てですから、両者が別の政党によって占められるということがある。この場合、首相は自らの政策を押し通そうとするし、国会は国会で自らの政策を押し通そうとする。首相も国会内多数派も同じぐらいの民主的正統性を持ちますから、どちらも頑として譲らない…。(中略)もちろん、首相選挙へ立候補する場合には、一定数の国会議員の推薦を要するといった条件を付すことによって、首相と政党との結び付きを担保する方法もありますが、根本的な解決になるかは疑問です。」引用終了。
６．仮に首相が議会の第一党から出ても、対立は発生します。アメリカの例を挙げます。
資料です。1962年 早稲田大学教授 吉村正の文章より引用開始
「またさきに言及したように、国会活動になると、政党は自党の推した大統領の方針を必ずしも支持するわけでなく、反対することがいくらでもある。」引用終了。
よってDMが発生します。
深刻性
政治の停滞は国民に悪影響を及ぼします。実際に政策の遅れで予算の執行が遅れた例を挙げます。国債発行法案です。資料です。2012年 日本経済新聞より引用開始「同法案は先の通常国会で野党の協力を得られずに廃案となり、政府が臨時国会に出し直した。政府は法案が成立しなければ今月末に財源がなくなるとして、すでに地方交付税の配分延期など予算執行を抑制している。」引用終了。
国民を苦しめる政治停滞をもたらすこのDMは深刻です。
終わります。ありがとうございました。
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否定側立論
/南山高等学校女子部 (13/05/02(Thu) 17:44) [#7]